映画「KCIA 南山の部長たち」

197910月に、かつて大統領を長期にわたって勤めた朴正煕大統領が韓国中央情報部(KCIA)トップであった金載圭に暗殺された事件が発生し、衝撃的な事件として記憶がある。この事件を題材にした韓国映画「「KCIA 南山の部長たち」を213日(土)、シネマート新宿にて鑑賞。期待していただけに、映画の中身は残念ながらいまいち。イ・ビョンホンの渾身の演技は見ものではあるが、空回り感が否めず。

この事件の構図は、明智光秀による織田信長が暗殺される本能寺の変に似ていると感じた。すなわち、朴正煕も1961年の軍事クーデターで実権を握り、1963年から1979年までの16年の長期にわたり大統領職にあったのであるが、クーデター時の盟友であったのが暗殺犯のKCIA部長、金載圭。しかし、次第に疎んじられ、暗殺時の宴会では相当罵倒されたようである。さらには自分が後継者になるはずが、ライバルが現れ、自分の身が危うくなる悲運を妄想。こうして暗殺に至る過程は、何となく信長と明智を連想させる。

この暗殺事件によって自分に実権が来ることを想定したのであるが、軍部に支持が得られず軍によって逮捕され、次の全斗煥大統領という軍事政権が誕生していく。韓国の民主化が実現するのは1987年までの歳月を要することになる。

この映画は、あくまで実話をもとにしたフィクションで、実名は使っていないが、ほぼ実際の事実に基づいて作られている。さすがに、朴正煕の娘である朴槿恵が大統領在任中ではできなかった映画と思われるが、強権政治化朴正煕の下でその姿を見てきたはずの娘が、実際には軟弱政治家であったのは歴史のいたずらか。

今日はこの辺で。