検察官定年延長問題の顛末

今年1月31日に、内閣がこっそりと東京高検黒川検事長の定年延長を閣議決定したのをスタート地点として、今日に至るまでのこの問題の経緯は、安倍政権がいかに嘘にまみれ、狡猾なものであるかを集大成した映画か芝居を見せてくれるものでした。

監督:安倍首相、脚本:安倍首相、菅官房長官ゴーストライターは安倍側近官僚)

主演:安倍首相、森法無大臣、黒川検事長(セリフなし)

助演:人事院給与局長、内閣法制局長官、野党議員、産経新聞記者、朝日新聞元記者

 

こっそり閣議決定しても、当然ばれます。2月に入って野党は違法な定年延長と追及し、決定過程を求めます。

主演の森法無大臣が、定年延長は国家公務員法ではできない旨の過去の政府見解を知らなかったことを暴露。

助演の人事院局長は、政府見解は未だ変わっていないと答弁。

この2人の答弁が正しいことは、この時点で誰もが理解したでしょう。

これではまずいと思った首相が、閣議決定前に解釈変更したことを2月13日に宣言。これが第1の嘘となり、森友学園問題と同じ展開となります。首相の言葉は絶対で、森法務大臣は、2月中旬に解釈変更した、口頭で決裁したと第2の嘘。人事院局長は、うっかり言い間違えましたと第3の嘘。

一度嘘をつくと、その嘘を真実にするために、また違う嘘が重ねられていくパターン。

人事院局長は、その後国会に顔を見せなくなったのが心配。今では、国会でいかにうまく嘘をつけるかが、出世の第一要件となった官僚組織。森友問題でうまく嘘を重ねられた役人が、皆さんめでたく出世しているのはご承知の通り。

次に出てきたのが、検察庁法改悪案。黒川検事長の定年延長を後付けで正当化しようと目論んだ狡猾な法案。主演の首相、大臣は黒川氏とは関係ないと強弁。これが第4の嘘。そして、絶対に恣意的な定年延長はしないと強弁するのが第5の嘘。

さすがに嘘の連続に堪えきれずにSNSで声を上げた1,000万ツイートに降参して改悪案の成立断念。

そしてラストシーンは、政権の悪だくみで検事長に居残った黒川氏が、なんと賭け麻雀を年がら年中やっていたことがばれて、あえなく辞職。今回の騒動で唯一の明るい話題。これを明るい話題というのも不謹慎かもしれないが、悪だくみはいずれは破綻することを見せてくれたという意味で、国民にとっては良いことでした。

それにしても一国の最高権力者として、よくもまあこれだけ嘘がつけるものだ。日本国民は、最も嘘つきで不誠実な人間を権力のトップに就かせている不幸を反省しなけれなならない。

今日はこの辺で。