阿刀田高「だれかに似た人」

阿刀田高作品「だれかに似た人」読了。短編小説の魔術師らしく、10篇いずれも短編らしいウィットが入って、さすがと思わせます。
「Y字路の街」は、事業に失敗した男と、過去に傷を持つ女が、同じ函館行きの飛行機に乗り、函館で再開して親しくなる話。男女とも詩を求めてこの地に来ているのですが、男は金があれば、女はゆすっている男が死んでくれれば、お互いうまくいくのですが、その結末は読者に想像させるという阿刀田の企み。
「無邪気な女」は、10歳以上年の離れた美人の妻と結婚したものの、その妻はSEXしようとすると拒否反応を示す。催眠療法で治療を受けると、妻の過去にその理由があったことがわかるが。
「灰色の名簿」は、病に侵された男が不思議な名簿に印をつけることによって、自分の命が助かり、印をつけられた人は、不思議なことに新聞の訃報欄に次々に名前が掲載、これは奇談。
「愛妻物語」は、幻のポルノグラフィーにまつわる男と義父の会話を中心に、妻を愛した義父の姿が浮き彫りになる。
「明日を売る女」は、風俗で働く女が副業で麻雀店を経営、自身も女友達と麻雀をしてその勝敗を日記につけるが、その日記を見た野球記者があることに気付く。バイオリズムを扱った小説。
「海の蝶」は、美しい人妻が田舎の豪邸に住み、少年に蝶を集めてほしいと依頼。人妻は蝶とともに海に沈んでいく。
「女体」、黒い数列」思い出せません。
「孤独な舞踏会」は、とあるダンスのビデオを手に入れた太った女が、そのビデオを見ているうちに、次第に痩せていく。そしてそれを商売にしようとして店舗を借りるのですが。
最後は「奇談パーティー」。大学の恩師の家に集まった人たちが、みんなにミステリーな話を披露するという、総花的な話。
今日はこの辺で。