柚木裕子「パレートの誤算」

検事もので面白い作品を書いてきた柚木裕子が、生活保護の実態に迫った作品。「検事の死命」のようなサスペンスは期待できないものの、柚木作品にみられる弱者の立場に立った視点がうかがえる作品。
いわゆる貧困ビジネスが話題になる昨今、その疑いのある事例が市の福祉化で発生し、二つの殺人事件が発生する。尊敬する先輩が殺害された若いケースワーカー二人が真相に迫っていくストーリーだが、そこには検事もので見せる切れ味がいまひとつ。最後に主人公の女性が犯人たちに拉致され、殺されそうになるところはハラハラドキドキさせるが、うまくできすぎている感も否めない。
次の柚木作品に期待しましょう。
今日はこの辺で。