朝井まかて「すかたん」

朝井まかて「すかたん」読了。集中的に朝井まかて作品を読んでいますが、通勤で電車に乗っている時間が短いのと、夜家に帰るとなかなか読書時間を造らないことから、なかなか進みません。やっと本日「すかたん」を読み終えました。「恋歌」、「ぬけまいる」、「花競べ」、「ちゃんちゃら」に続く5作品目。恋歌を最高峰に、その他作品もいずれ劣らず面白い作品。
花競べ、ちゃんちゃらも、主人公が花や植木などの植物を商っていましたが、「すかたん」も植物である野菜を商う商家の話。きっと作者が好きなんでしょう。
江戸の饅頭屋の娘、知里が武士の妻になり、夫の転勤で大阪に来たものの、大阪で夫はすぐにはやり病で亡くなってしまい、未亡人となった知里は子供に字を教えて、かすかすの暮らしをしていたが、長屋に泥棒が入り、家賃も払えなくなる。そんな時、青物卸商の若旦那とひょんなことから出会い、商家に女中として住み込むことになり、物語が進行します。こうした商家の生活や、当時の卸商組合の仕組み、農家や武士との関係を描き、かつ知里と若旦那との恋も盛り込んで、大阪市井の時代小説が出来上がっています。この作品が朝井まかての三作目の作品とのことですが、その才能の豊かさがうかがい知れ、「恋歌」が第一回目の候補で直木賞を射止めたこともうなづけます。
次は「先生のお庭番」読むことにします。
今日はこの辺で。