都市計画審議会なる儀式

個人的に理由があって、世田谷区都市計画審議会を昨日傍聴しました。
都市計画審議会は、都市計画法で各自治体に設置が義務付けられ、その自治体が実施する都市計画案を決定する前に、その計画案の良し悪しについて文字通り「審議」し、行政の長に報告するものです。たとえ審議会が否決しても、即その都市計画案が決定されないとは限らないようですが、それなりに行政に圧力をかける重要な機関と思っていました。
しかし、そんな私の思いは完全に幻想となりました。
原発の規制機関である保安院や安全委員会が、実質的には「原子力村」を構成していて、何ら機能していなかったことが、事故があって初めて判明しましたが、この都市計画審議会という機関も全く同じで、何らその役割が機能していないことをまざまざと見せつけられました。
私自身は、ある都市計画案に対して反対であることから傍聴したのですが、賛成・反対は別にして、審議委員にはもっと事前に勉強して、この都市計画をやる意味がどこにあるのか、多くの住民がなぜ反対しているのか、計画が出てきた経緯はどうなのか、環境アセスはどうなのかなど、基本的な知識を事前に仕入れて審議会に臨み、疑問点をどんどん質問するなり、意見を出し、将来世代のことも考えて真剣な議論するのが本来の目的であるはずです。
審議会の委員構成は、学識経験者と称する7名、区議会議員7名、関係行政機関2名、区民3名の計19名。
真剣に発言するのはほんの数人、特に学識経験者と称する委員の中には、全く頓珍漢な、「今さら何を聞くんだ?」というような発言があったり、極めて私的に「近くに住んでいるから・・・」など、耳を疑うような発言がありました。
「あんたら、何を考えて審議会に参加してるんだ(怒・怒・怒)」と叫びたくなる気持ちをぐっと抑えて聞いていました(傍聴人は声を出すことも拍手もできない)。
また、委員長自身がこの審議会の意味を理解しているのか、甚だ心もとない発言もありました。
こうして、聞いていてフラストレーションがたまる一方の審議が終了し、採決では行政の諮問に1名以外は賛成するという結果。
とにかく、都市計画審議会なるものが、行政側の一つの機関であり、手続きにすぎないことがよくわかりました。
学識経験者と区民の都市計画審議会委員の報酬については、開示されている限りでは、年4回程度の開催で、各回お車代程度の様で、これでは真剣に勉強しないかもしれませんし、逆に高額であれば任命する行政側寄りの議論しか出てこない危険性があります。
とにかく、今のような制度では、都市計画審議会は有名無実の機関であるとしか言えないことをはっきりと確認できました。
行政は審議会の賛成を得たことを錦の御旗として、あたかも区民が認めたとして進めることになるのでしょうが、何とも悔しく、残念な半日間でありました。
今日はこの辺で。