連城三紀彦「変調二人羽織」

連城三紀彦の初期の短編推理を集めた「変調二人羽織」読了。表題作を含めて5編。
連城独特の雰囲気を醸し出す作品ではありますが、「戻り川心中」ほどのインパクトがないようにも感じました。
私が気に入ったのは最後の「依子の日記」。終戦直後に長野の山奥に引っ越して作家生活を送る夫と妻。妻の日記が小説になっている構成。夫婦の生活のなかに、若い女性編集者が現れ、夫を奪ってしまう。その背景には若い女の復讐心が。そしてそんな女を殺してしまう夫婦。しかし最後のどんでん返しが待っています。何か、連声の原点がこの作品にすべて詰まっているような、濃密な作品ではないでしょうか。
今日はこの辺で。