池波正太郎「鬼平犯科帳」

池波正太郎鬼平犯科帳」の文庫本を読み始めて3週間、5巻目に入りました。
読めば読むほどに味のある作品。ついつい、平蔵を中村吉右衛門とダブらせてしまうのは止むを得ない所か?平蔵の人間の大きさ、人情と悪への厳しさ、部下を思う心、仲間をかばう心遣い。どれをとっても超一級品の平蔵であるが、怪我もするし、心細い心情も見せます。若いときは相当の放蕩をし、庶民と交わってきた人間だからこそ、弱いものへの深い愛情が持てるのでしょう。
もう一つの発見は、池波が女と男の情愛にも非常に深く切り込んでいること。特に女の観察が深い。これを含めて、この小説が決して単純な時代小説なのではなく、現代に通じるハートフルな小説であることがうかがえます。同時に、部下をうまく使い、自らも率先して事件や人間の中に入っていくという、マネジメント小説でもあります。
先は長いですが、24巻、飽きることがない小説ではあります。
今日はこの辺で。