海堂尊「ブラックペアン1988」

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海堂尊「ブラックペアン1988」読了。「ひかりの剣」をつい最近読みましたが、今回の作品は純粋に医療小説。
後にチームバチスタやジェネラルルージュで東城大学付属病院の院長として登場する高階講師が、「ひかりの剣」で東城大学の剣道のライバルとなった帝華大学から異動でやってきます。したがって、「ひかりの」剣と同一時期のお話。
新米医師の世良を中心に、佐伯教授、高階講師、渡海医師など個性豊かな医師たちの、危うい人間関係や手術場面を織り込み、あきさせない展開。
しかし、クライマックスがいけません。渡海が佐伯に対する復讐のようにブラックペアンを除去する手術を画策し、高階によって手術が行われるのですが、佐伯が出張先から戻ってくる場面。
意味のあるブラックペアンであれば、佐伯が高階に電話でその意味を説明すれば手術は行われなかったはず。直前に病院に舞い戻り、すべてを打ち明けることの不自然さが拭えません。最後の最後で、高階講師の軽さが浮き彫りになってしまいました。もう少し違ったラストを考えるべきではなかったか?
勿論私には思い浮かびませんが。
今日はこの辺で。