重松清「幼な子われらに生まれ」

今年最後の読書は、重松清「幼な子われらに生まれ」。重松の約10年前の作品。「家族」を題材にしてたくさん書き続ける重松清の作品の中でも、どちらかというと怖い作品。ばりばりのキャリアウーマンとの結婚が、子供をもうけたにもかかわらず失敗し、二人の子持ち女性と結婚した主人公の男。いい父親になろうとひたすら努力するものの、血の繋がった娘と血の繋がらない娘を比較してしまう。そして、そんな父親の姿を冷たい視線で見つめ、追い詰めていく血の繋がらない娘。小学校5年生という年齢が子供なのか大人なのか?子供だからこそ恐ろしいのかもしれません。妻が妊娠したことで、そんな家族の亀裂が赤裸々になっていく。
この主人公は、年に4回血の繋がった娘と会うことを条件に離婚しており、その娘と会うことを楽しみにもしています。それが今の家族にどんな感情をもたらすのかを理解していないわけではないのですが、会ってしまう。
家族から逃げる姿も赤裸々に描かれ、自分が同じ環境に置かれたらやっぱり逃げてしまうのではないかと思った次第。その前に、私には血の繋がらない子供を持つ自身は全くないのですが。
今日はこの辺で。