重松清「ツバメ記念日」読了。表題作ほか、全12作の短篇小説。
まず最初の「めぐりびな」で泣かされました。幼い頃に父親が亡くなり、母親一人で頑張って育ててくれた娘が、その母親を回想する物語。粗末な雛人形ながら、買ってくれた母親の苦労が伝わり、涙が止まりませんでした。
「球春」は、中学生の野球選手が、プロ野球選手になり、結果的には挫折し、故郷に帰った野口を思う話。野口をスカウトしたプロ野球のスカウトマンとの何とも言えない心のつながりがたまりません。
「さくら地蔵」は、交通事故で幼い子供を失ったバスの運転手のナベさんが、事故現場近くにお地蔵さんをつくり、そこにさくらの花が敷き詰められる話。
最後の表題作「ツバメ記念日」は、共働きの夫婦が、子供を育てていく苦労ばなし。父親が娘に手紙で過去の苦労を書く構成。こんな夫婦は世間に一杯いるんだろうなあ、とつくづく思った次第。
相変わらずの重松節に酔いしれました。
今日はこの辺で。