重松清「流星ワゴン」

重松清の「流星ワゴン」読了。東北旅行に持参して読んだ本で、電車に乗る時間が長かったので、ずいぶん読めました。
妻に浮気され、息子は引きこもり、おまけにリストラにあった最悪の境遇にある男が、死を覚悟していたところに現れた一台のワゴン車オデッゼイ。何年か前に車の事故で死んだ父と子の幽霊に遭遇し、車に乗って過去を旅するお話。荒唐無稽な話ですが、読んでみるとやっぱり考えさせられます。子供に対する過大な期待に気づかない親、妻の不満に気づかない夫、いつからか仲が気まずくなった父親。どこにでもありそうな関係を荒唐無稽な話の中に取り込んでいますが、そんなに違和感は感じません。これが重松の重松たる所以か。
未来を変えることはできないものの、自分を変えることによってこれからを変えていくことに希望の余韻が感じられました。
今日はこの辺で。