楡周平「陪審法廷」を読み終えました。長距離通勤になったおかげで、週2冊のペースで詠み進めていますが、今週は唯川恵作品と楡作品。
日本でも来年から裁判員制度が始まり、アメリカの陪審制と同じスタイルの法廷が実現します。実際にどんな形で裁判員制度が行われるのかについては、新聞をはじめとするマスコミがかなり詳しく報道していますが、実際にははじまって見なければ分からないのが実情です。結局は試行錯誤で始まるのでしょうが、果たして日本になじむのかどうか?
表題作品は、多分に日本でも始まる裁判員制度を意識して書かれた作品なのでしょう。設定はアメリカの陪審到底ですが、犯罪者として裁かれるのが日本人少年、陪審員の一人が日系女性となっており、これは明白です。
日本の現在の裁判は、ほぼ前例主義で判決が下されます。裁判官はサラリーマンであり、通常2~3年で転勤になります。したがって、受け持っている裁判も、後任に引き継がれるのが普通です。こうした現実から、全うな判決?が下されるわけがありません。結局は前例主義、判例主義にならざるを得ません。これに対してアメリカの陪審制が優れているのか?これもまた極めて疑問です。陪審員のよりどころとするのが、結局は判例主義にならざるを得ないような気がするからです。
この小説では、かつての名画「12人の怒れる男」を彷彿とさせるような逆転判決が出てきましたが、これはアメリカの裁判制度の首をかしげるところでもあります。人一人を計画的に殺害して無罪と言うのは日本では確かに考えられません。0か100かの判断をせよといえば、この小説の場合には25年間の懲役は長すぎます。
これを機に日本の裁判員制度について少し勉強しなければ。
今日はこの辺で。