北朝鮮による拉致被害者家族連絡会が、突然家族の一員が消え去り、その苦悩と捜索の奮闘などを綴った「家族」を読み終えました。横田めぐみさんの家族をはじめ、家族会に関係する家族たちの長い苦闘が生々しく綴られています。そこにあるのは、突然どこへ行ったかもわからず、どうしていいかも分からない人々の苦痛、警察や政府に訴えてもなかなか相手にしてもらえない憤りが読み取れます。
北朝鮮という国が、マスゲームに代表されるように、相当異常な国家だと言うことは、特に政府関係者には十分に知れ渡っていたはずですし、大韓航空機事件やラオス?での韓国要人殺害テロなどでも十分にそれは証明されていました。しかしながら、拉致家族の意見はなかなか取り入ってもらえず、放置され続けました。その間、北朝鮮の発表によれば、5人生存、8人死亡というような悲惨な結果が生み出されてしまいました。家族にとっては痛恨の極みでしょう。
日本の社会でも、突然に家族の下を去っていくケースは数多くあります。かつて「蒸発」と言う言葉がはやったように、数えればきりがないのでしょう。しかし、その蒸発には必ず理由が存在するはずです。破産や不倫、現在ではリストラなどで家族に合わす顔がなく姿を消すケースはたくさんあります。しかし、横田めぐみさんのような中学生や、蓮池さん、地村さん、市川さんといったアベックが何の理由もなく忽然と消えたのは事件性があることは明らかです。そして、随分前に北朝鮮が絡んでいることは分かっていたはずです。それがつい最近まで政府は勿論、マスコミも本気になって取り上げなかったのは何故でしょうか?
それは、いまだに日本政府にある過去の朝鮮植民地支配と在日朝鮮人団体への遠慮ではなかったのか。
日本は北朝鮮が窮状を訴えるたびにコメ支援をカードとして使ってきました。万景峰号での無審査の外貨や物資の輸送も許してきました。究極は金丸・田辺訪朝団の土下座外交でした。
この本では、政治家をとことんこき下ろしていますが、中には協力的な政治家もいたはずです。しかし、そうした人たちの声は大きくはならなかったのが現実です。
横田めぐみさんの生存を信じるご両親に大きな声援を送りたいと思います。
今日はこの辺で。