角田光代「対岸の彼女」読了

角田光代直木賞受賞作、「対岸の彼女」を読み終えました。女性作家らしく女性を主人公にしたお話。小夜子と葵という2人の女性主人公の物語を交互に取り入れた構成。しかも葵は彼女の少女時代からの話、小夜子はその葵に雇われる現在進行形のお話。不思議な話の進み具合ですが、最後は一つになるという、なかなか凝った小説です。
葵にとってのナナコが、小夜子にとっての葵になっているのでしょうか?同い年の二人ですが、結局は非常に似たもの同士が最後にはお互いを理解しあうのです。
この作品に限らず、小説には学校のいじめや社会でのいじめがたくさん出てきます。いじめ、あるいは仲間はずれ、仲間はずしは小説の格好の題材です。なぜかといえば、人間社会が多かれ少なかれ好き嫌いの人間関係から出来上がっているからに他ならないからでしょう。
葵も小夜子も常に仲間はずれにおののき生きてきたのも読み取れます。そんな中で、葵の友達のナナコは生きているのでしょうか?彼女がこの小説での最大のヒロインにも読み取れるのですが。
今日はこの辺で。