安倍外交の船出

安倍首相が最初の外国訪問に中国を選び、小泉時代に関係が悪化した日中関係を修復軌道に乗せるべく首脳会談を行いましたが、中国も相当クビを長くして待っていたらしく、今後は首脳会談を継続的に行っていくことも約束されたようです。安倍首相としては、直前に北朝鮮の核実験問題が持ち上がったため、首脳会談の話題も靖国神社や歴史問題に偏ることなく、やりやすかったと思われます。これも政治家としての運があるのかもしれません。
中国としても、小泉時代の悪化した関係をこれ以上放置できないという気持ちもあったのでしょう。すんなりと安倍訪中を受け入れ、共同プレス発表という形で首脳会談の成果を発表できました。安倍さんとしては、最初の訪問国に中国を選んだ成果が達成でき、とりあえずは安心しているのでしょう。
中国側は靖国神社参拝を政治的な障害と言う言葉で取り上げ、これ除去するように言ったようです。これに対して安倍さんは、「適切に対処する」と答えたとのこと。「適切に対処」とは参拝しないという意味でしょうが、記者会見では「行く行かないを言わない」と答えていました。若干苦し紛れなところはありますが、おそらく在任中は参拝しないでしょう。参拝したら余計大きなリアクションが予想されます。
靖国神社参拝などは国内的にはそれほど大きな問題ではありません。首相が行こうが行くまいが、誰が文句を言うことではないのです。だったら波風立たないように、千鳥が淵でも言っていればいいではありませんか。これは決して中国、韓国が言うからそう思うのではありません。今北朝鮮が不穏な動きをしていますが、もし仮にミサイルが日本に向け発射されたら、日本中北朝鮮攻撃論が巻き起こるでしょう。集団的自衛権だの専守防衛だのといった議論はかき消されるのではないでしょうか。そんな危険な状態になったとき、靖国神社的な発想(遊就館に見る戦争観)は戦争抑止でなく、戦争鼓舞の方向に間違いなく民心を煽ることになります。勿論攻撃されて黙っていることもないでしょうが、核武装論や先制攻撃論が幅を利かすような社会になってしまうのです。それを望んでいる人が多いことも、我々は十分理解する必要があるでしょう。
今日はこの辺で。