裁判における正義と公平とは何か

2022年2月22日、大阪高裁が旧優生保護法不妊手術を強制された被害者が提訴した国家賠償請求訴訟で、初めて国に賠償を命じる判決を下した。

優生保護法は、優性思想に基づき1996年まで実在した法律で、らい予防法と共に、人権侵害を法律が認めてしまった悪法である。そしてこの法律を根拠に、25,000人以上の方が本人同意もなく不妊手術を受け、子供を持つ権利を失う被害を受けたのである。1996年にようやく優性条項が削除され「母体保護法」に改定されたが、長い間被害者は差別と偏見を強いられてきた。ようやく立ち上がった被害者が訴訟を提起してきたが、いずれも「除斥期間」という国家賠償請求訴訟の高い壁で敗訴を続けてきた。本訴訟も一審大阪地裁は、除斥期間を理由に原告敗訴となっていた。その意味で今回の大阪高裁判決は画期的である。

阪高裁の太田晃詳裁判長は、「除斥期間の適用をそのまま認めることは著しく正義・公平の理念に反する。適用の制限が相当」などと指摘し、除斥期間が過ぎていることを理由に請求を退けた一審判決とは、異なる結論となった。

これまで6件の一審判決は、いずれも除斥期間を理由に原告敗訴となっていたが、今回の大阪高裁の判断こそが「正義・公平」であり、国は上告を断念し、広く被害者への手厚い補償を行うべきである。

今日はこの辺で。