西村賢太「苦役列車」

芥川賞受賞作、西村賢太苦役列車」読了。今回は芥川賞直木賞とも受賞者が2人で、豊作?となりましたが、特に芥川賞は、文学サラブレットとも言われる朝吹真理子さんと、中卒フリーターと称する西村賢太さんという、全く対照的な二人の受賞で話題になりました。早速文藝春秋を購入し、西村さんの「苦役列車」を読む。
西村さん自身が言うように、まさしく「私小説」なのでしょう。本人が言うような経歴であれば、それをそのまま書いて、若干のフィクションで味付ける作品となっているような感じ。
そこで疑問が生まれたのが、この作品に果たして文学的な価値があるのかどうか?という点。確かに同じ職場に友人を見出し、彼との交流を中心に物語性はあるのですが、大部分は自分の心のうちを暴露しているような作風にも感じます。既に3度目の候補ということで、作家としての地位も上がってきているのでしょうが、「私小説」というジャンルはどこまでが芸術なのか?若干疑問符がつく作品に思えました。
今日はこの辺で。