藤沢周平「風の果て」

年末から読んでいた藤沢周平の「風の果て」(上・下)読了。
ある藩を舞台に、道場に通っていた若い五人の武士のそれぞれの生き様と関わりを描く。五人のうち一人だけは名門の上士の息子鹿之助。他の四人はいずれも下士、それも二、三男で、婿養子に行くしか生きる術がない身分。封建社会にある厳然とした身分制度の中、四人のうち主人公の焦太、後の桑山又左衛門は婿養子になり、代官、郡奉行、郡代、、中老、そして筆頭家老まで出世する。その間、鹿之助改め、杉山忠兵衛との権力争いに勝ち残って、筆頭家老にまで上り詰める。
この小説で我々が参考に出来るのが、藩経営という、会社経営と全く同じシチュエーションを味わえること。藤沢曰く、経営中枢の居心地のよさ、したがって誰もが多数派を形成し、自分の身分を守りたい意識があるということ。そのため、農民や下士の生活が見えなくなってしまうことがままある、ということ。
会社経営も正に同じことが言えるのではないか、勿論国の経営も。
今日はこの辺で。