熊谷達也「はぐれ鷹」

熊谷達也の「はぐれ鷹」読了。東北は月山山麓鷹匠を目指す若者と、彼を取り巻く人たちとの物語。というよりも、若者と鷹との物語といったほうがいいかも。
今時鷹匠を目指す若者がいること自体稀有な話ですが、こうした伝統技能、伝統技が無くなってしまうことは、なんとも寂しいことではあります。
角鷹を操ることの大変さは、実際のところ分かりませんが、山奥の小さな山小屋で鷹と一緒に暮らすこと自体、通常では到底考えられません。主人公が、幼馴染の女性久美との将来を思う際に出てきますが、鷹匠で将来食べていけることは困難であり、すなわち通常の生活はできないことを意味します。彼が、神室号を死なせ、月山号と決別したあとの身の振り方はどうするのか?
久美が「社会との付き合いから逃げている」旨のことを主人公に言いますが、あながち間違ってはいないでしょう。
主人公の回想で、死んだ猫を料理した場面が出てきますが、やっぱり変っているとしか、われわれには見えない主人公でした。
今日はこの辺で。