竹下派七奉行

民主党永田議員の偽メール問題の結果、民主党執行部の党内外の信頼はがた落ちとなり、野田国会対策委員長の後任がすったもんだの末、何と渡部恒三さんが就任することになった。民主党では最長老に属する方の出番となったわけで、党内の混乱振りが伺えます。これだけ求心力を失い、かつ自民党に頭が上がらなくなった執行部がそのまま存続すること自体、今後の国会運営に支障が出ることはみえみえであり、思い切って執行部総辞職のほうが良かったのでは、と思うのは私だけではないでしょう。
さて、渡部さんはかつて竹下派七奉行として権勢を振るった人でもあります。奥田敬和小沢一郎小渕恵三梶山静六橋本龍太郎羽田孜、そして渡部恒三の7名を称して七奉行といいました。この中で、橋本、小渕、そしてほんの短期間ではありますが羽田が首相となりました。梶山は首相に野心を見せながら、志半ばで病に倒れ、小渕は首相在任中に、渋いバイプレーヤーの奥田も病に倒れ、この3名は既に他界している。橋本は年齢的には若いものの、スキャンダルの余波で議員を引退、国会議員で残るのは小沢、羽田、そして渡部の3人になってしまった。その3人とも民主党である。かつて最も自民党的な田中-竹下派に所属した3人が野党となっているのも不思議なめぐり合わせである。この中で羽田は既に何の影響力もなく、小沢は依然隠然たる力を隠し持っているかのような印象をいまだに与えている。渡部は、その東北なまりの愛嬌のあるキャラクターにより、あまり敵がおらず、副議長を長らく勤めた。今回の出番となったことを見ても、こうした政治スタンスが政治家としての長生きの秘訣かもしれない。
まだ年齢的には72歳であり、この窮地にあっては、民主党の救世主になるかもしれない。「渡部さんが言うんだったら」という感じで、自民党ともうまくやるのかもしれません。
いずれにせよ、対決を期待していた国民には、なんとも情けない民主の失態だったことは間違いない。
今日はこの辺で。