藤沢周平「冤罪」

藤沢周平の時代小説短編集「冤罪」読了。短編全てが、藤沢周平の真骨頂である、庄内地方の藩の貧しい武士が主人公となる短編が表題作ほか全9編。いずれも味わい深い作品ですが、特に印象に残ったのが「臍曲がり新左」。臍曲がりといわれ、皆から煙たがられている中年武士新左衛門。しかし、彼は小田原攻めから朝鮮出兵大阪夏の陣まで、輝かしい戦歴がある。その武功も忘れ去られ、今は臍曲がりに成り下がっている。しかし、その正義感とかつての武功は伊達ではなく、藩の悪政を懲らしめる。
表題作の「冤罪」は、婿入り先を探す部屋住み武士が見初めた娘の父が冤罪で殺される話。冤罪と分かったものの、兄も加担していたことを知り・・・
いずれの小説にも美しい娘が登場し、色を添えているのが嬉しい。
今日はこの辺で。