佃祐世「約束の向こうに」

40歳で司法試験に合格し、現在弁護士として活躍中の佃祐世氏著「約束の向こうに」読了。

まず年齢にびっくりし、かつ4人の小さなお子さんがいることにもびっくり。佃さんの夫は裁判官でしたが、脳腫瘍が発見され、その後は神経系統の病気も併発して、最後は自死なさった方。そんな夫の闘病時に寄り添い、結果として自死させたのは自分だと悩む姿が描かれます。3人の子供と、更にお腹に4人目の子を抱えながらの不安は相当なものでしたでしょう。そして、夫との何気なくかわした「君も司法試験を受けて」という言葉。彼女はその言葉を思い出し、夫亡き後敢然と司法試験に挑んでいきます。元々が九州大学法学部出身で、素養的には優れているのは間違いないのでしょうが、大学を卒業して既に10年以上たっており、法科大学院に入るのも並大抵ではありません。しかし、難関を突破して広島大学法科大学院に入学、卒業後3回目の試験で司法試験に合格するという離れ業。

夫を自死でなくすという悲しい体験を経て弁護士になった彼女ならではの、人間的な弁護活動が期待されます。

今日はこの辺で。