佐藤栄佐久「知事抹殺」

福島県知事を5期18年務めた戦う知事、佐藤栄佐久氏著「知事抹殺 作られた福島県汚職事件」読了。

参議院議員一期の後、福島県知事に立候補し当選、以後強力な地盤をきづき上げ、5期18年間務めた著者が、2006年9月、県発注ダム工事にかかわる汚職事件で突然逮捕され、東京地裁で有罪判決を受けるまでの経緯を記したのが本書。前半は知事として原発問題や町村合併、道州制なのに異議を唱え、戦う知事として政府にも逆らってきた己の姿を描き、後半は突然の逮捕・拘留・検事との戦いを描く。

時の政府や権力に逆らうと、何らかの形で刑事司法の報復を受けるパターンは非常に多い。佐藤氏もその犠牲者なのか?三井環氏もそうでしたが、脇が甘いところは誰にもあるので仕方ないのであるが、郡山三東スーツという縫製会社の、名ばかりとはいえ会長に収まっていたことは、痛恨でもある。どうしても利益相反が発生する余地がある。実弟に経営を任せるのであれば、会長職に留まることもなかったであろうに。

佐藤氏が談合に絡んでいないことはまずは間違いないのでしょうが、ではどこから端緒があったのか?郡山三東スーツの土地を買った水谷建設の脱税事件から、東京地検がストーリーを描き、知事という大物を逮捕するに至ったとみるべき事件でしょう。

注目すべきは、同じ時期に和歌山県知事と宮崎県知事も汚職事件で逮捕・起訴されていること。いずれも官製談合事件ですが、どうも国策捜査に近い事件であったようです。

いずれにせよ、一度逮捕・起訴されたら無罪はあり得ない日本の刑事司法。いずれも検察によるマスコミへのリークが悪人像を作り上げ、名誉が回復されることはない。まったく不運である。

もしかしたら、今最も注目を集めている河井夫妻の事件も、そんな検察の思惑があるのかもしれない。

今日はこの辺で。