森功「地面師」

ノンフィクションライター森功氏著「地面師 他人の土地を売り飛ばす闇の詐欺集団」読了。

地面師というと、積水ハウスがまんまと騙された五反田の土地事件で俄然有名になりました。積水ハウスといえば、大和ハウスと並ぶハウスメーカーの最大手。住宅だけではなくマンションや都市再開発なども手掛けており、土地売買などの権利移転に関しては、厳しいチェックが入り、まさか騙されるようなことはないと思ったのは私だけではないでしょう。そんな会社をも騙してしまう巧妙な詐欺の手法について、いくつかの事件を追って描いています。

積水事件では都合12名が逮捕されたが、つい最近の6月10日に本書でも出てくる主犯格に懲役11年が下された。

この事件のために、積水ハウス経営陣の内紛が持ち上がり、会長が解任されたことでも話題になりました。

とにかく手口が巧妙で、偽のパスポートた印鑑、印鑑証明書などの書類関係、更には所有者の老人の替え玉の手配など、入念に計画を練り、慎重に実行する手口は絶妙。特に土地バブルが再燃したオリンピック決定以降、地面師の目が輝きだしたといわれます。

積水ハウスなどの大手であっても、なかなかまとまった土地を手に入れることは至難。そんな企業事情を敏感に察知して買主を見つけるのもまた大したもの。

日本全国には空き家が850万戸もあるといわれ、都内でもたまに見かけます。こうした物件を見つけて仕込んでいく地面師たち。

驚くのは、案外地面師集団とはいっても、逮捕・起訴されてもなりすましに雇われる人などは、罪に問われないケースが多いこと。罪に問われても案外刑期は短く、模範囚であれば10年が5年で出てくる可能性もあります。出てきたらば、またもや仲間を集めてまた一仕事仕込むという詐欺常習犯たち。

空地・空き家を持っている方は要注意です。

今日はこの辺で。