Netfliksドキュメンタリー「グレゴリー事件 迷宮入りの謎に迫る」

新型コロナショックを受けて、アメリカの通販大手amazonの売れ行きが絶好調で株価も上昇しているとのこと、そして世界的な外出禁止命令や自粛で家に閉じもまざるを得ない人が増えていることから、Netfliksの加入者も急増しているとのこと。飲食や観光業を中心に雇用が失われ、住むところも失う方が増えている中で、現下の環境にうまく乗った企業は勝ち組となっています。ただし、今後感染長期化に伴って、製造業や建設業にもじわりじわりとボデーブローのように痛みが増大して、本当の大不況が目の前に現出する可能性大です。とにかく早くワクチンが開発されてほしいものです。AIによるワクチン開発も進んでいるようですが、ガンの特効薬が未だ開発されていないことを考えると、すぐには期待できないことなのかもしれませんが。

今回Netfliksで視聴したのが、フランスの片田舎の小さな町で1984年に発生した4歳の幼児、グレゴリー君の誘拐殺害事件を描いた「グレゴリー事件 迷宮入りの謎に迫る」全5話。

数年前から脅迫的な電話や手紙が届いていたヴィルマン夫妻の一人息子グレゴリー君の殺害したいが近所の川で発見される。これが第一の悲劇。ちょうどその時にも、殺害を予告するような手紙が届いており、警察は近隣に住むヴィルマン一族数十人を中心に犯人捜査を開始する。

父親のジャン・マリーは工場の主任で、一族の中では唯一の成功者で、嫉妬されているという見込みから一族中心に捜査が進むのでありますが、そこで利用されたのが若干知的障害のある少女。ジャン・マリーのいとこのベルナールが、脅迫状の筆跡鑑定から怪しいとみられ、少女に誘導尋問を行い、ベルナールの犯行とされる証言を得てベルナールを逮捕。これが第二の悲劇。しかし少女が証言を覆し、ベルナールは釈放となる。

次に容疑者とされたのが母親であるクリスティーヌ。これが第三の悲劇。筆跡鑑定と最後にグレゴリー君に会ったと思われたことから、犯人扱いされてしまう。マスコミの根拠のない報道や判事の優柔不断さが影響したことが原因とされました。

そんな時に起きてしまったのが第四の悲劇。なんとジャン・マレーが釈放されていたベルナールを射殺するという事件が発生します。犯人が捕まらない苛立ちで精神的に参っていた、子供を失った親の衝動的犯行。

母親クリスティーヌは後に裁判で、何の証拠もなしに起訴されたとして無罪に。

ジャン・マレーは後に懲役五年+執行猶予4年判決。

第5の悲劇は、ベルナールとクリスティーヌを証拠不十分で起訴した判事のランベールが後に自殺したこと。ランベールは、いわゆる筆記試験だけで判事になったような、経験も判断力も何もないような判事で、見るからに頼りなさそうな人。誰かに意見に流されて物事を判断するような極めて優柔不断な方。

この事件はいまだに未解決ですが、当時のマスコミの過熱報道ぶりから、フランスでは非常に有名になった事件。一つの殺人が連鎖していくつもの悲劇を生みだしてしまった恐るべき事件ですが、そこには警察の誘導尋問や非科学的な筆跡鑑定、そして何よりマスコミの面白おかしくすれば新聞や雑誌が売れるといった利益至上主義的な姿勢が得浮き彫りになりました。

もう一つは、こうした刑事事件を捜査する組織として、地元警察と憲兵組織があるということ。その捜査を命じるのが地方判事であるということ。そして判事が大きな権力を持っているということ。フランスで言うところの判事は、検察官と裁判官の両方の役目があるような印象です。これについては後で調べてみましょう。

いずれにせよ、冤罪だけは避けられたことが唯一の良かったところでした。

今日はこの辺で。