ドキュメンタリー映画「目標株価ゼロ」

アメリカの健康食品会社、ハーバライフマルチ商法を追ったドキュメンタリー映画「目標株価ゼロ」をNetfliksで観賞。

桜を見る会」で話題になった日本のマルチ商法会社ジャパンライフと同じ様に、ねずみ講式のシステムで健康食品などを販売する商法は、日本だけの専売特許ではなく、アメリカでもお盛んなようです。特に騙されるのが日本の場合は高年齢層が多く、老後資金を使い果たしてしまったなどの話が桜の問題でも多く聞かれましたが、ハーバライフ社の場合に狙われたのがヒスパニック系で、不法入国で住んでいるような方々。彼らは不法入獄という弱みを持っているため、当局に被害を訴えられないという弱い立場。こうしたマルチ商法では、やはり強いものが上位の位置に来て高額な配当をもらい、下位の者はただ吸い取られるだけ。

ジャパンライフ問題も、創業者が巧妙に政治家や役人との人脈を作り上げ、いかにもまっとうな真っ当な商売をしているような表の顔を見せる半面、裏では詐欺まがい商法を行うのですから非常にたちが悪い輩です。特に、マルチ商法を厳しく取り締まるべき消費者庁の職員や警察幹部が天下りしていたのには呆れました。彼ら天下りをした職員たちには良心なり、善悪の判断なりのまともな神経があったのか、全くあきれるばかりです。ハーバライフの場合も、ノーベル賞を受章したような高名な学者が研究者に名を連ね、更にはサッカー界の帝王、クリスチノ・ロナルドを広告塔に使うなど、極めて巧妙な戦略を使っています。

映画では、ハーバライフが売上5,000億円のアメリカ上場企業でもあるため、この詐欺的商法を告発して株価を下げて、空売りで儲けることを目論見、儲けたお金を被害者に返金しようとする善意の資産家の戦いと、実際に被害を告発する不法移民たちの姿を描きますが、いずれも不発。特に告発を判事が受け取らないという現実には、アメリカ司法制度の限界を見るようでした。

エンドロールで、やっとアメリカの当局が告発し、罰金が科され、当時のCEOが辞任するところまでは到達します。しかし、会社自体はいまだ存続しており、商法もほとんど変わらず。しかも世界90か国にネットワークが広がっています。

ネットで検索して調べると、日本にも現地法人が存在し、派手さのない、地味なHPで会員を募っていることも確認できました。日本にどれだけの被害者が存在するのか、全くわかりませんが、くれぐれも注意したいものです。

コロナショックで日本経済もガタガタしており、経済的に厳しい方々も出てきていますが、困った人に漬け込むのがこの商法の恐ろしいところ。今までもマルチ商法ねずみ講はたくさん摘発され、多くの被害者が出てきたのですから、消費者庁はじめ当局は、そういう情報をキャッチしたらすぐに調査に入るべきです。しかし、コロナ対策と同じ様に、当局の動きはいつも後手後手。被害を増やさないための一番の対応策は、先手必勝と心得よ、です。

今日はこの辺で。