村木厚子「私は負けない」

厚労省事務次官まで務めた村木厚子さんが、課長時代に政治家からの働き掛けに対して不正に文書を作成させたとして逮捕された郵便不正事件。身に覚えのない罪に問われ、164日間と言う長期勾留も強いられたにもかかわらず、決して検事の不正な取り調べに屈せず、最終的に無罪を勝ち取った事件を、ご本人が回顧して書いたのが「私は負けない」.

この事件は、彼女が課長時代に政治家の要請を受けた上司の命令を受けて、部下の係長に不正に書類を作成させて、権限者である課長の印を押印して、本来障害者団体が郵便料金を格安で書物を送れる権利を民間業者に与えて、不正に郵便料金を安くさせたという事件。現実には係長の独断行為だったのですが、逮捕当時厚労省の局長と言う重責にあったため、検察が勝手にストーリーをでっち上げ、それに基づいて取り調べを20日間受け、全否定したにもかかわらず逮捕され、長期間拘束されたという事件。

当の係長他、上司だった部長や周りの厚労省職員も聴取され、半ばでっち上げの調書を作られ、それをもとに起訴したのですが、村木さんは決して嘘の自白はしませんでした。検事が「大した罪にはならないので、自白すればすぐに釈放され、執行猶予になる」などの不正な取り調べにも屈せずに、役人としての誇りと矜持を貫いた態度は立派であります。

この本を読んでからyoutubeで村木さんの日本記者クラブでの記者会見を視聴したのですが、その話しぶりは極めて明瞭、説得力抜群で、さすがに事務次官になる人だなあと感心した次第。そして、証拠書類のうち、フロッピーディクの更新記録を見ておかしいと思うなど、非常に頭脳明晰な方であることを感じました。

安倍政権ではモリカケ問題や桜を見る会で、文書は廃棄した、ログは出さないなど、子供でもわかる嘘を政治家と役人が国会で答弁しています。もし村木さんが今の内閣府の官房長や審議官であったなら、どんな態度をとったのか?もしかしたら政権に逆らってまで、真実を述べていたかもしれないと私は思うのですが。

今日はこの辺で。