青木理「拉致と人々」

青木理さんは最近メディアで売れっ子のジャーナリスト。安倍政権を批判的に論じるその姿勢が好きなのですが、その経歴を見てみたら私の高校の後輩で、より親近感がわいた次第。その彼が書いた拉致問題に関するルポが本書。出版されたのが2011年1月ですから、第二次安倍政権が発足する随分前ながら、すでに安倍晋三に対する批判的な言葉が見えてきて、当時から反安倍であったことがうかがわれます。

青木氏は共同通信の記者として2002年~2006年までソウル特派員を務め、韓国語も特異とのこと。したがって北朝鮮問題にも詳しいジャーナリスト。

北朝鮮での取材経験もあり、北朝鮮情報や拉致被害者の「家族会」や「救う会」の暗部のような部分も書き連ねます。我々には家族会や救う会の現状などはわからないのですが、やはりこうした本音のルポを読むと、お金に関するスキャンダル的な部分や主義主張の違いによる葛藤が多いこともわかります。

小泉首相が訪朝して帰国した際、家族会や救う会からバッシングを受けたことは今でも覚えていますが、その裏には各会の思惑が絡んでいたことが想像されます。

この北朝鮮問題をベースとしてのし上がったのが今の安倍首相。対北朝鮮への強硬姿勢を貫き、家族会などからも支持を受け人気を博します。青木さんはこの問題がなければ首相の座にはつかなかっただろうと見ます。

更に北朝鮮問題で漆間巌警察庁長官朝鮮総連ビル問題で刑事告発された緒方重威公安調査庁長官など、北朝鮮問題に関して何らかの関わりを持った人たちの真相が書かれていて興味深いルポでした。

今日はこの辺で。